自分だけのカタナをつくる ~ Bike &DIY ~

GSX1100S刀のプライベートカスタムと気ままな工作と冬はスキーの日記です

2015北海道ツーリング・リベンジ~六日目(そして僕は途方に暮れた)

 「ロマン」を後にし、厚床(あっとこ)方面に向かって国道243号を南下します。

 途中で道を間違って風連湖の方に行ってしまうというハプニングはあったものの、概ね順調に距離を稼ぎます。

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f:id:sword749:20150812143037j:plain▲間違えてやって来た風連湖。曇り空のせいか荒涼とした感じがします。

 

 

 そして厚床の少し手前くらいで天気が急に良くなってきました。

 青空が広がり太陽の光が降りそそぐと気持ちも一気に明るくなります。やはりツーリングはこうでないと。それにしても天候がここまで人の気分に影響するとは。雨風が凌げないバイクだからこそ、ということもああるのでしょう。

 

f:id:sword749:20150812145810j:plain▲これは厚床から初田牛に向かう途中にある牧場。一体何処までが牧場なのか見当が付きません。

 

 厚床で一旦国道44号線に入り、根室方面に向かって少し走ってから直ぐに右折して道道1127号線から「北太平洋シーサイドライン」という名の道道142号線に入ります。

  この道はツーリングマップルで“青と緑のコントラストが美しい絶景道”と紹介されているように、見晴らしが良くて、左手に太平洋、右手には牧草地帯が広がり、得も言われぬ美しさ。去年も一昨年も天気が悪くてこの道を走るのを断念していましたが、ようやく快晴の元で走ることが出来てとても嬉しい。

 ツーリング中バイクも何台か走っていて、みんな景色に見とれているのがよく分かります。

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 残念なのは、自分の腕ではこの風景を写真に上手く収められなかった事。というかロクな写真が残っていません。“おっ!”と思う場所で止まり損ねたこともありますが、何というか写真から景色の迫力みたなものが抜け落ちております。(宗谷丘陵とかでもそうでしたが)

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 でも、このときの感動というのは、バイクという身体がむき出しの状態でこの景色というか空間の中を走ってこそ得られるような気がします。おそらく五感で感じるものがあるのでしょう。オープンカーで走るのも最高に楽しいと思います。逆にバスやクルマで窓越しに見ていると何か現実感が希薄になるんじゃないかな、と思います。(TVやPCの画面で見ているような)

 

 この後は霧多布岬へ。文字通り霧だらけでした。

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 既に時刻は15時半を回っています。そろそろ今日のキャンプ地へ向かわねばなりません。

 地図を眺めて今日は「シラルトロ湖キャンプ場」というところに泊まることにしました。予めツーリング前にリサーチしておいたキャンプ場で、ホテルが隣接していて温泉やランドリーの利用もでき、評価も上々です。

 釧路と標茶の中間くらいに位置しているので、霧多布からは茶内に出て、国道44号で一旦釧路方面に向かい、牡蠣で有名な厚岸から道道14号線で北上し、標茶に出て国道391を南下するというちょっと遠回りのルートで向かいます。ダイレクトに向かえる都合のよい道が無いのです。

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f:id:sword749:20150812162619j:plain▲釧路湿原が有名ですが、霧多布湿原というのもありました。

 

 

 内陸に向かうにつれて空はだんだん曇ってきました。どうも天気が良かったのは太平洋沿岸だけだったようです。それにツーリストのバイクを全然見かけなくなりました。みんな何処へ行ったのか?クルマの姿さえ稀になり、急に寂しくなりました。

 

 そうこうしながら標茶に到着。

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 時刻は17時半を回っていますが、地図で確認するとキャンプ場までは15分くらいで着けそう。多和平のキャンプ場も同じような距離なので行けない事はないな、とふと思ったりもします。

 

 丁度セイコーマートが有ったので、夕食の買い出しをしてキャンプ場に向かいます。

 鹿の飛び出しが多いのか、道沿いには“鹿に注意”の看板がたくさんあります。少しずつ薄暗くなってきているので注意しながら走ります。

 

 やがて「シラルトロ湖」の標識がでてきました。標識に従って道を進み到着。公園のようにきれいに整備されていて良い感じ。

 小さなホテルの向こうに見える広場がキャンプサイトの模様。が、近くまで行ってもテントは一つも見えません。ここではないのだろうか?

 Uターンしてホテルの方に戻ると、ライダーらしき男性がいたのでキャンプ場は何処なのか訊いてみるも知らないという。ホテルの人に訊いてみたら?という言葉に従い、若干嫌な予感を感じつつホテルのフロントへ。

 「いらっしゃいませ」とにこやかなフロントマンに「キャンプ場は何処なのでしょうか?」と尋ねると、即座に「キャンプ場は閉鎖しました」*1という抑揚のない返事が。

 予想もしていなかった展開に茫然となってホテルを出ます。

 「どうでした?」と尋ねてくるライダー氏に閉鎖されていた事を伝えると、彼も“エッ!”と絶句し深刻そうな表情になりました。それがまた私の不安を増大させます。でも当然でしょう。午後6時を過ぎて宿無しというのは普通は危機的状況と言えます。

 すると見かねたライダー氏の奥様(夫婦で旅をしていた)がホテルの中に走っていき周辺の観光マップを持ってきてくれました。しかも近くのキャンプ場の場所もマーキングしてくれていました。

 大変ありがたかったのですが、半分思考が麻痺した私は上の空でお礼を言うのが精一杯でした。

 

 ともかく何処かに行かねばなりません。二人の“気を付けて”という言葉に送られて出発です。普段は単なる挨拶言葉ですが、このときは本当に“気を付けて下さいね”と言っているのがヒシヒシと感じました。

 

 さて何処に行こうか...教えて頂いたキャンプ場は直ぐ近くだけど、心が弱った私は、何度も利用して勝手知ったる屈斜路湖の和琴湖畔キャンプ場に行こうと考えました。1時間くらいかかるかも知れないけれど、知らないところに行くよりはマシだろうと考えたのです。

 鹿の飛び出しに気を付けながらどんどん暗くなっていく国道を北上します。

 走りながらも気になるのは空模様。バックミラーに写る後ろの空は晴れ間が多いのに対し、前方、特に屈斜路湖方面は不気味な黒い雲がかかっています。どうしたものか?と悩んだ結果、雨のリスクを避けて標茶の少し先にある多和平キャンプ場に向かう事にしました。

 

 

 やがて周囲は完全に暗くなり、今回のツーリング初の夜間走行になりました。周囲を走るクルマもなく、バイクのヘッドライトだけが頼り。

 図らずも7月に換装したLEDヘッドライトを評価する絶好の状況となりました。

 ロービームではフレアがあり、やや横に光が広がり過ぎの感もあるものの明るさは十分。ハイビームはやや照射範囲がまとまり過ぎているようにも感じましたが、ちゃんと遠方を照らしていて、満足できるものでありました。

 心に余裕があるのか無いのか自分でも分かりません。

 

 そろそろ多和平への入り口を示す看板が出てきても良いはず。この暗闇なので見落としたのではあるまいか?と不安になってきた頃、看板がライトに照らしだされました。

 看板が示す道に入り進んでいくと、ずっと遠くの方にキャンプ場に向かって走るバイクのヘッドライトが見えました。他にもキャンプしている人は居そうなので一安心。天気があまり良くなかったので、誰もいなかったらどうしよう?と少し心配していたのです。
 というか沢山のライダーがキャンプしていました。


 レストハウスの店の人が利用手続をしながら言うには、昨日はここも凄い雨と雷でキャンプどころではなかったそうです。またその人は用事で釧路までクルマで出かけたそうですが、クルマが止まってしまうんじゃないか、と思うくらいの凄い雨に降られたそうです。

 

 どうやら、昨日、一昨日と私は上手く雨を避けていたようです。

 

 辺りは霧が出てきましたが、風はなく雨の心配も無さそう。

 テントを立てると漸く一息つく事ができました。

 

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 本日の走行距離 : 370.4km

 

 

 

*1:後で調べてみたところ、水道か何かが故障中らしく、閉鎖は一時的なもののようです。