フロントフォークのオーバーホールでは専用の治具が必要となります。
一つは、 スライドメタルやオイルシールをフォークのボトムケースに押し込むための工具。
前回の記事でも少し書きましたが私は塩ビパイプで代用しています。
柔らかい素材でありながら強度は十分あるといううってつけの材料。しかもとても安い(数百円程度)と良い事尽くめ。
呼び径(というらしいです)40のパイプで外形が48mm、内径が44mmで、インナーチューブ径43mmにピッタリのpサイズ。VU菅という規格らしく、ホームセンター等で売られているものは大抵これのようです。
長さは40cmもあれば十分。適当な長さに切って使っています。
<参考>
ただ、43mm径のインナーチューブ用としては48mmという外径はちょっと細いようです。
スライドメタルの圧入は問題ないのですが、今回はオイルシールをなかなか奥まで押し込めない。オイルシールの内側を押すとシールがたわんでしまうからなのでしょう。(オイルシールの外径は55mm)
無理するとシールを傷めることにもなるだろうし、なるべく外側に近い部分に力を加えた方が簡単に押し入れられるはず。
やはりこれは治具を工夫しなければ、とホームセンターに向かいました。
でも、40の上のサイズの塩ビパイプは外径が60mmだし、なかなかちょうど良い物が見つからない。
他に何かないだろうか?とみて回っているうちに、“継ぎ手”(“ソケット”というのかな?)を組み合わせれば良さそうだ、と思いつきました。
うまい事に内側の真ん中にパイプのストッパー(突起)があるし、しかも外径は約54mm。あまりにもちょうどよいサイズです。
ただ、内側の突起が少し大きく、インナーチューブが通らなかったので、ヤスリで削って穴径を広げてやります。
これにパイプを差し込みます。
このソケット部分をオイルシールにあてて、カンカンとハンマーで叩いてやると簡単に入っていきました。
ホイールにベアリングを挿入するときもそうでしたが、やはり圧入する面の近く、つまりシールの外周に力を加えてやることが大事だな、と思いました。
因みにこの40サイズの塩ビパイプは、GSX750S/1000S/1100Sのノーマルフォーク(インナーは37mm径)のオイルシール挿入にも使えます。
以前、GSX750Sに乗っていたときに、ノーマルのフォークのOHをやった際にこの塩ビパイプを使ったはずです。*1
それ以来使い続けているのですから、自分にとってはずいぶんとコストパフォーマンスの良いツールだと思います。