自分だけのカタナをつくる ~ Bike &DIY ~

GSX1100S刀のプライベートカスタムと気ままな工作と冬はスキーの日記です

2015北海道ツーリング・リベンジ~一日目(その1)

 8月7日金曜日 AM3:45。

 目覚まし時計のアラームで目が醒めました。寝ぼけて何でこんなに暗いうちから目覚しが鳴ったのだろう?なんて思いましたが、今日はツーリングに出発する日。昨夜寝床についたのは0時近くでしたが、その割にはしっかり寝られたような妙な感じ。

 顔を洗って髭を剃り歯を磨いてジーンズとTシャツを着て身支度は終了。早速荷物をバイクに積みます。まだ夜明け前なのであまり物音を立てぬようにソロソロと。

 昨夜のうちに荷物の半分はバイクに積んでいたのですぐに準備完了。もう一度忘れ物が無いか確認をします。大丈夫なはずだけど何か忘れているような気もする。ツーリングの前はいつもこうです。(そしていつも何か忘れている)

 

 

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 これからちょっと長い旅に出るという実感が沸かないまま、家々が空いたところまでバイクを押していき、そこでエンジン始動。少し暖気運転をしてエンジンが落ち着いたところでクラッチレバーを握り、ギアを入れてスタート。一路高速道路のICを目指します。

 重たい荷物を積んでいるのでバイクのバランスがいつもと違って少しだけ乗りにくいけど、バイク自体の調子は良さそうなので一安心。


 高速道路のICの手前まで来たところでガソリンを満タンにするのを忘れていることに気付きました。満タンに給油してから既に70km程走っているので4~5Lは入るはずだけど時間のロスになるのでそのまま高速道路に乗りました。

 

 高速道路でもバイクのエンジンは快調。昨年、エンジンストップした鬼門の場所も無事通過。順調に走って圏央道から関越道に入り、高坂SA(サービスエリア)まで一気に走って小休憩。

 早朝なので昼のような混雑ではないけれど、やはり夏休みなだけあって家族連れの姿が多いです。お父さんも子供も半ズボン。お父さんの方が子供よりはしゃいでいるように見えます。

 一年前はここでガソリンタンクを下ろし、蒼くなってトラブルの応急処置をしたのだなぁと感慨にふけります(あれは悪夢だった)。

 缶コーヒーを一本飲んで出発。

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 身体もほぐれてきたし、荷物を積んだバイクのバランスにも馴染んだので、少しペースを上げて走ります。

 バイクの調子は絶好調。やり直したキャブレターのセッティングはバッチリでエンジンは気持ち良く回るし、フロントフォークもオーバーホールしたので操縦性もすごく安定しているので、安心だし実に楽しい。

 時速100kmのスピードで走るバイクに生身の身体で跨っているのに全く恐怖を感じないのは不思議なものだな、とふと思ったり。

 

 

 快調に走っていたら、突然、唐突に忘れ物に気付き、思わず“アッ!!”と声を発しました。忘れたのは小型のクーラーバッグ。出発前に気になっていたのはこれだったのか! まぁ無いと困るというほどでは無いし、100円ショップの品なので必要なら途中で買えば良いでしょう。

 

 

 快調に走って赤城高原SAに到着。少しお腹が空いてきたので、おにぎりとウーロン茶で朝食。既に日差しはかなり強くなってきて暑いくらい。青空の赤城高原の景色を眺めながらの朝食は気持ちが良いです。(去年は食事どころでは無かったなぁ)

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▲向こうに見えるのが関越道。

 


 ゆっくり休憩してバイクのところに戻ったら70歳位の男性が興味津々な様子でカタナを眺めていました。多分、家族でのドライブの途中なのでしょう。

 

 「このバイクは(エンジンの排気量が)いくつあるんだい?」と話しかけてきました。

 1100ccです、と答えると「ホォー、そんなにあるのかい!」。

 昔は国内のバイクはナナハン(750cc)までだったけれど、今は大排気量のバイクがたくさんあるんですよ、と説明。

 「どこまで行くんだい?」というので、新潟まで行ってそこからフェリーで北海道に行くんです、と答えると
 「北海道かい!!荷物の感じから近場では無いなと思ったけど、そりゃ凄いな~」
と感心し、ニコニコしています。そして私のカメラに目をやり、写真撮ってあげようか、と言ってくれました。ここはありがたく写真を撮ってもらいます。

 カタナの横に立つと、「おっいいね~」と上機嫌でシャッターを押してくれました。

 私も、いろいろお話させて頂いたので旅の記念に写真を撮らせて下さい、とお願いすると「そうかい?」と少し照れながらもカメラに収まってくれました。

 「じゃぁ気を付けてね」と見送られて出発。こんな風に見知らぬ人と話しするのも旅の楽しさ。旅の初日から幸先が良いです。

 


 SAを出るとき、ガソリンスタンド(GS)で給油するかちょっと迷いました。次のGSは越後川口SAで104km先と看板が出ていたのです。バイクのトリップメーターの距離数をチラリと見て*1、まぁ大丈夫だろう、とそのまま本線に出ました。

 


 これが大失敗でした。

 

 暫く走ったところで、突然エンジンが息つきを始めガクンと失速。

 何だ!?今年も故障か!?と思いながらもガソリンコックを“リザーブ”に切り替えてみると直ぐにエンジンは復活。故障ではなかったようでホっとしたけど、別の不安がムクムクと沸いてきました。

 ガス欠になるのがあまりに早すぎる。越後川口SAの近くまでは持つ目算だったのに。予想以上にガスを食っていたようです。

 

 この時点で赤城高原SAからは10キロくらいしか走っていないので残りは90kmはあるはず。

 一方、カタナの燃料タンクは公称値20L。リザーブ*2に切り替えた後の給油では16L以上は入るので、残りの燃料は4L有るか無いか。燃費が20km/Lだとすると走れる距離は80km程。途中で燃料が切れてしまいます。

 全身から血の気が引きました。

 これはまずい。もし途中で止まったら....JAFの救援を待っていてはフェリーの乗船時刻には間に合わず、その時点でツーリングは終了。やはりさっきのGSで給油しておけば良かった、と後悔してももう遅い。


 何としても次のGSに辿り着かねばなりません。

 燃費を伸ばすため、まずスピードを80km/hまで落としました。アクセルの開閉も極力減らし、ガソリンタンクに上体を伏せて空気抵抗を下げアクセルを更に絞りました。傍からみると“80km/hでトロトロ走ってるくせに何やってんだ?”と思ったことでしょう。

 これでどこまで燃費が伸びるか。23km/L位に伸びれば何とかなるか?

 また、燃料タンクは20Lという事だけど、それはあくまでも公称値のはず。マージンはどのくらいあるのだろう?

 

 最後の手段としてキャンプ用のランタンやストーブのガソリンを使う、という事も考えました。*3全部かき集めれば0.5Lくらいあるかもしれない。だとすれば10kmは走れるはず。

 頭の中ではいろいろな考えが駆け巡り、何度も計算を繰り返します。もはや周囲の景色など目に入りません。

 しかし、本当に越後川口SAまでGSが無いのだろうか?高速道路って50km間隔でGSを設置しているんじゃなかったのか??一抹の望みを持って走り続けるもGSを示す標識は現れず。*4にやはり越後川口SAまで走らねばならないようです。

 途中のICで一旦降りて給油することも考えました。でも周りは畑や水田ばかりで近くにGSは無さそう。もし何も無いICで下りたらそれはそれで致命的。

 

 いつエンジンがストップするかハラハラしながら走り続けます。交通量が少ないのが不幸中の幸い。追い越し車線をバイクやクルマがビュンビュン走っていくのを横目にしながら左側の車線をジリジリとした思いで走り続けます。

 

 越後川口SAまで10kmを切ったときようやく何とかなりそうだ、と思いました。 

 ガス欠になってから80kmが過ぎたけど、エンジンはまだ普通に回っています。

 やがて残り2kmの標識が現れ、1kmの標識となりついにSAに到着。真っ直ぐGSに向かいます。奇跡が起きたような気分です。


 ガソリンの給油を受けながら店員さんに、赤城高原からここまでGSが無くてびっくりした、とか、いつガス欠になるかヒヤヒヤしながら走っていた、とかベラベラと話しかけます。危機を脱した安堵感から饒舌になっていました。

 

 そして給油量をみてまた驚きました。19.91L。殆どガソリンタンクは空だったようです。

 

 ガソリン代の支払いが済んだら直ぐにスパート。遠慮なくアクセルが開けられるのがこんなにも嬉しいとは。


 幸い渋滞も無く、仙台港近くのセブンイレブンには9時を少し過ぎたところで到着。もう大丈夫。ここで買い出しです。他にもフェリーに乗船するらしい大きな荷物を積んだバイクが何台か止まっていました。


 手早く買い物を済ませ、フェリーターミナルに到着。バイクを乗船待ちエリアに止め、乗船手続を行います。かつて乗船手続には長蛇の列ができていたものだけど、今は手続きも簡素化されてすぐに手続終了。

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▲以前は長い行列が出来ていたのですが、今はこんなにガランとしています。

 

 

 バイクの乗船は既に一度行われていて、コンタロー氏は既に乗船済のようです。“乗船したら乾杯しましょう、お待ちしています”、というメールが来ました。

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▲既に乗船している人達がデッキに出てこちらの“下界”を眺めています。

 

 

 今日は乗用車の乗船が大変込み合っているそうで、バイクの乗船までは暫らく待たされました。他のバイクを眺めたりして待ちます。(この待ち時間も悪くは無いものです)

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f:id:sword749:20150807101327j:plain▲快晴でとても暑かったので、ライダー達は日陰に引っ込んで乗船を待っていました。

 

 バイクへの荷物の積み方も人によって様々な工夫が施されていて、眺めていて飽きないです。

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 ようやく乗用車の乗船が一区切り付き、いよいよバイクの乗船です。

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 無事車両甲板へ。

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▲クルマやバイクでギッシリです。

 

 

 <その2に続く>

 

*1:カタナには燃料計がありません。(燃料計が付いていないバイクの方が多いんじゃないでしょうか)私はいつも給油したらトリップメーターを0に戻し、走った距離で給油のタイミングを計ります。

*2:リザーブ用にタンクが分かれているのではなく、燃料タンク底のコックから燃料を取り込む高さの違う管が二本出ていて、通常は高い方の管から燃料を取り込み、管の高さまで燃料が減ったら“リザーブ”にコックを切り替えて低い管から燃料を取り込む、という仕組みです

*3:ホワイトガソリンではなく、自動車用ガソリン(通称“赤ガス”)を入れていたのです

*4:途中の塩沢石打SAの標識にはトイレ(W.C)やレストラン(ナイフとフォーク)の表示は有ってもGSのマークは無かったです。シールを貼って何かの表示を消した痕跡があったので、かつてはGSが有ったのでしょう。