先日のブレーキ・ホースの変更の際、もう一つの作業を行いました。
ブレーキ・キャリパーのネジ穴の再生です。
実は右側のキャリパーのネジ穴の傷みが酷くなめてしまう寸前になっていたのです。
このキャリパー、750カタナのときから使っているもので、かなりの回数キャリパーの付け外しを行っていて、ボルトの締め付けでしくじったのでしょう。
“整備はネジ締めに始まりネジ締めに終わる”と言う言葉を痛感します。
当初は中古の同じキャリパーを入手して交換しようか、とも考えたのですが、どのような状態なのか分からないし、ネジ山を補修する方がコスト的にも安く済みそう。
それに私はASSY交換で対処するより可能な限り補修で修理したい派。
どうも私は物を再生、復活させる、ということに強く惹かれる性分のようなのです。
なのでモト・メンテナンス誌で紹介された「プラリペア」でカウルの欠損部分を再生する、とか、「GM-8300」というメタルパテで欠けたエンジンフィンを修復する、という記事には大いに夢を感じました。
という事で、リコイルでねじ山を修復することにしました。
因みにリコイルをやるのは初めて。決して難しい作業ではないですが、心配半分、楽しみ半分であります。
リコイルの修理キットは、サンデーメカニック用の値段の手頃なものということで、こちらを入手しました。(M10/P1.25用)
久しぶりに気持ちの良い秋晴れとなった3連休の初日、満を持して作業スタート。
問題のキャリパーのネジ穴です。
傷んでいるのは片側のネジ穴だけと思っていたのですが、改めて確認してみると両方とも酷い傷み具合でした。2つともリコイル決定です。
まず、ドリルでネジの穴を切削して拡大します。穴が真っ直ぐになるよう、いつもの卓上ボール盤を使って切削しました。
ドリルの径は10.45mmほどでした。
この位の穴径になるとこのボール盤ではパワー不足では?と懸念していたのですが、やはり途中で止まってしまう事も。小まめに注油しつつ少しずつゆっくり切削していき、何とかクリアしました。
次はタップでのネジ切り。これもタップが真っ直ぐになるようボール盤を利用しました。高さ調整はフリーの状態にしてチャックを手で回してネジを切っていきます。
半分くらいネジを切ってから残りはハンドルでネジを切りました。
この季節にしては暖かい陽気のせいか、作業に集中しているせいなのか、汗が滴り落ちてきました。
こうして二つ目の山場もクリア。ここまできたら殆ど終わったも同然。
あとはインサーターを使ってコイルを挿入するだけです。ところが最初は見事失敗してしまいました。コイルがネジ山に噛み合わず、きちんと挿入できず。
原因はインサーターのストッパー位置を適正位置にしていなかった事でした。
(というか取扱い説明書を熟読しなかったのが原因です。)
やり直して見事成功!と思ったら、今度はコイルが深く入り過ぎ。そのままコイルを回して先の方からコイルを出してやり直しです。
次はコイルの後端がツライチになるようチェックしながら回していき、丁度良いところでストップ。
因みに、今回のキャリパーのネジ部の深さ(長さ)は12mm程。
それに対しコイル単体の状態での長さは約10mmでしたが、一巻きほどカットして丁度良い長さとなりました。
これはコイル単体の状態ではピッチが1.25より狭い状態(凡そP1.0)で、ネジ穴のネジ山に噛み合わさるとピッチが1.25に広がることによります。
最後にタング(インサーターに引っ掛ける部分)を叩き折り完成。
ちゃんとボルトが入るかちょっとドキドキでしたが全く問題は無し。キャリパーをフロントフォークに取り付け、規定トルクでボルトをしっかり締め付けることができました。
初めてチャレンジしたリコイル処理でしたが上手く出来きました。
気を良くして他にリコイルするところは無いだろうか?なんて思ったほど。
このように修理が上手くに出来たときの気分は格別です。この後試し乗りに出かけないのならビールで乾杯したいくらい。
天気の良い一日を修理に費やすことになりましたがとても充実感のある一日でした。
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