今週末も天気は悪そうです。本当は泊まりでツーリングに行く予定を立てていたのですが、雨が降っていては楽しく走れないので、残念ながら見送りました。
今回のよもやま話は、今までのユーザー車検で最大のピンチでした。今思い返してもよくこのドタバタを乗り越えたものだと思います。
これも750カタナのときの話で随分前の事です。
車検前日になって検査場の予約を確認したら、間違って違う日を予約していたことが判明。いつも検査を受ける自動車検査場の明日の予約はもう埋まっており、あわてて近郊の検査場を探してみると某検査場に予約の空きがありホッと一安心。
当日、某検査場に到着すると。。。
いつもの検査場に比べると、某検査場はやや規模は小さいものの建屋や設備は新しく随分と清潔な感じ。
車検を受けに来ているクルマの数は少なく、バイクに至ってはゼロ。事務手続きを終えたら待ち時間ゼロですぐに検査となり、検査レーンにいた検査官2名がかりで私のカタナの検査をすることとなりました。
検査官は若手のルーキーっぽい人と堅物そうなベテランという組み合わせ。
ルーキーが若干ぎこちない感じで検査を進めてベテランがそれを監督するという妙な緊張感のある図式で検査は進められました。
検査項目毎に「OKです」と言っているのは誰に向かって言っていたのか?私に対してでもありそうだし、そうでないようにも聞えました。
ウィンカーやらホーンやらのチェックが済み「では次はブレーキ検査です」とルーキーが言ったとき、「車体寸法の確認が残ってます」とベテランがピシャリ。
えっ!!寸法の確認するの!?まずいな。。。。
750カタナは所謂 “耕運機ハンドル” と呼ばれた幅の広いハンドルが装着されていて*1、車検証の車体幅はこのハンドル幅となります。
私のカタナは(当時は輸出モデルのみだった)1100のセパレートハンドルに換装していたので、幅は大幅に狭くなっています。
ルーキーがメジャーを取り出し測ったハンドル幅を読み上げると、ベテラン検査官は車検証の記載値と見比べ「むむ!寸法が違いますね。許容差を超えています」。
そりゃ当然です。車検証での車体幅は、750カタナ : 830mm、1100カタナ : 715mm*2 なのですから。
実はこれ、私も気にはなっていた事でした。
初めての車検のとき、窓口で “ハンドルを変更しているので構造変更した方が良いでしょうか?” と訊いたのですが「うーん、検査で指摘されてからで良いですよ」という返事*3。で、検査では車体寸法の確認は行われず。その後の車検でも寸法は確認されずにその時に至っていたのです。
当時はこんなものなんだと思っていましたが、それは間違いだったようです。(今ではいつもの検査場でも車体寸法の計測は行っております。)
それにしても同じ公的機関の検査場でこうも違うものか。いつもの検査場のいい加減大らかさとは正反対。真面目過ぎやしないか。
「白河の 清きに魚も 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき」という歴史の授業できいた句のようだと思いました。
しかしこのベテラン検査官は柔軟性も併せ持っていました。
「ハンドルのしぼり角を広げて幅をもっと広げることはできませんか?あとハンドルバーエンドを引き出すことはできませんか?」
とこちらがびっくりするような対処策を提案してくれたのです。それで規定の測定値になれば検査の上ではOKになるらしい。(今でもこの対処が通用するか分からないですが。)
しかし残念ながらそれでも車検証の寸法を満たすことは難しそう。
このままのハンドルで車検を取るには、やはり構造変更の検査を受けて車検証の寸法値を変更するしかなく、しかもそれはナンバーを登録した検査場、つまりいつもの自動車検査場でないとできないとのこと。
相談の結果、残りの検査は出来るので、まず検査をやってしまおうということになりました。そうすると後は車体寸法の構造変更のみでよいらしい。
幸い全ての検査項目はパス。ヘッドライトの光軸検査も一発OKでした。
するとベテラン検査官は自ら(いつもの自動車検査場に)電話をかけて事情を説明し、構造変更検査の手筈を整えてくれました。
これは大変有難かった。この検査官の親切な対応を忘れる事はないでしょう。“お役所仕事” といわれていた役所のイメージが覆りました。
こうして清き検査場を後にし、馴染みの濁れる検査場に着いたのは検査時間の終了間際。
電話連絡のお陰で事務も検査官も待ち構えていてくれて、あっという間に構造変更が終了し、車検を更新することができました。
今までのユーザー車検で一番の思い出です。
【変更前】
【変更後】
*1:何で1100カタナとは違うハンドルなのかというと、750カタナは日本国内向けモデルであったからです。(1100カタナは海外向けの輸出モデルだったのです。国内で乗るには逆輸入しなければなりませんでした。)当時の運輸省がレーシーな形状のセパレートハンドルを認可しなかったのです。
当然ながら750カタナのオーナーは1100カタナのハンドルに交換して乗っていたのですが、当時では違法改造となるので警察は整備不良でバンバン切符を切りました。いわゆる ”カタナ(刀)狩り” というやつです。
その後、運輸省の認可は緩和されていくのですが、カタナが登場したのはその過渡期だったと思います。
*2:SR型とSY型は740mmです。
*3:その時はいい加減だなぁと思いましたが、よく考えると窓口の対応は間違っていないと思います。事務員の方はどのような変更がなされたのか分からないし、寸法的に差がなければ構造変更の必要はありません。検査で指摘があってから手続きの判断をしましょうというのは正しいと思います。