「汚れた英雄」のヨタ話の続きです。
この小説を何度か読み返すうちに感じたのは、これはホンダ(二輪メーカーの)がレースの世界で栄光をつかんでいく物語でもあるんだな、という事。
1950~60年代にかけて浅間火山レースからマン島TTレースへ挑戦し世界GPを席巻していく様が恐らくほぼ史実に基づき詳しく描かれています。
そして、それは北野昌夫の活躍とシンクロしているようにも見えます。昌夫のレースでのライバルとして伊藤史朗やマイク・ヘイルウッドらが登場するけど、本当のライバルはどんどん進歩を遂げて昌夫に立ちはだかるホンダのレーシングマシンのような気がします。
ホンダは1966年に50ccから500ccクラスまでの全クラスを制覇という偉業を成し遂げるわけですが、その中で出て来たのが250ccながら並列6気筒という凄いエンジンを搭載したRC165/166というレーシングマシン。小説の記述では “チャンピオンを目前にしたヤマハの250ccレーサーとP・リードをねじ伏せるために” 投入したマシーン。レギュレーションの制約もあるけどもうこんなのは出てくるとは思えず、ロマンの塊です。
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