去年の夏のときの事で今さら感もあるのですが、考えてみると中々印象深い出来事だったのでブログに書いておくことにしました。
小田原厚木道路を走っていたときのことです。
唐突にエンジンにミスファイアが起き始めました。最初はプラグのカブリだろうか?などと思っていましたが段々酷くなってきました。
エンジン音がバラバラという音になり、大きくパワーが失われてきたので緊急待避所にカタナを止めました。
こんなところで参ったな、何か起きているのだろう?
燃料経路が詰まっているわけでは無さそう。となると点火系(電気系)か?とガソリンタンクを下ろして調べます。
プラグキャップが抜けかけているのだろうか?またはプラグキャップからのリークだろうか?と調べるも4本ともしっかりプラグにはまっているし問題は無さそう。しかしエンジンを掛けると相変わらず回転はバラつく状態。
そんな事をしていたら早くもパトカーが登場。
カタナの後ろに止まり、助手席から若手のお巡りさんが降りてきて「どうしました?」。
走っていたら急にエンジンの調子が悪くなって、と説明すると
「あ一、カタナですからね~」
カタナ乗りはよく掛けられるであろうセリフですが、大きな誤解であります。
カタナは決して壊れやすくは無いです。ちゃんと整備をしておけばそう壊れるものではない。だいたい他のメーカーのオートバイだって、新しい新しいオートバイだってちゃんと壊れます。
ホンダのCBR1000RRで北海道にツーリングに行って故障し、殆ど全ての旅程をバイク修理(部品入荷待ち)に費やした輩だっています。
まあ、そんな事を訴えても仕方無いですが。実際にこうして止まっているわけだし。
お巡りさんは道路を管理するパトロールに連絡しておくので、直りそうも無ければ相談してくださいと言い、もしまた調子が悪くなったときのために差し上げます、と大型(長さ30cm弱)の発炎筒をくれました。
因みにこの若いお巡りさん、警察官らしい堂々とした物腰ながらも言葉使いも態度も丁寧でなかなか爽やかな方でしたが、顔をみると随分とあどけなさがあってちょっと驚きました。それだけ自分は歳を取ったということか、と思いました。
パトカーが去った後、再びトラブルについて検証。
事象としては4気筒のうち2気筒くらいが失火している感じなので、IG(イグニッション)コイルが怪しい。
オートバイの4気筒エンジンは、2つのIGコイルで4気筒の点火を行っています。1つのIGコイルで2気筒の点火を行っているので、コイル一つに不具合が生じるとエンジンは2気筒が不調になります。
IGコイルの外観は、割れや焼けた跡は無く異常は無さそう。
ならば配線はどうか?すると、IGコイルの端子の一つからハーネス側の端子が少し抜けかけているのを見つけました。端子と端子の勘合が緩んでいてグラグラになっています。
これだ!!
これだと接触不良で電気がまともに流れず、プラグのスパークもまともに行えないはず。しかし、何故こんな事が起きたのか?IGコイルの配線をいじった(端子の抜き差しを行った)のは1年くらい前のはず。
それ以外は端子の勘合が緩むような作業はしていないし、異常も無かったです。同じ形状の平端子は他にもあちこちで使われているけれど、そこの勘合が緩んだことは経験無し。それにこの平端子は抜けにくいような形状、仕組みになっているし。不思議です。
そんな事を考えながらも、車載工具の中からペンチを取り出し、端子がしっかり勘合するようハーネス側のメス型端子を軽く押し潰します。
IGコイルの端子に接続してぐらつきが無い事を確認し、他の端子もチェックして異常ないことを確認。
試しにエンジンを掛けアクセルをひねるといつものようにフォン、フォンと軽快な音で拭け上がりました。やはりIGコイルの接続不良が原因でした。
こうして再び走り出す事ができました。
暫く走っていると先ほどのパトカーに追いつき(途中でどこかに止まっていたのでしょう)、横に並ぶと運転席のお巡りさんが"直って良かったね"というように笑顔で手を上げてくれました。
その後も不調になることは無く、発煙筒も使う事は無く、無事帰宅する事ができましたが、何故端子が緩んだのかは今も納得いく理由は見つかっていません。