能取岬を後にし、とりあえず小清水方面に向かう。
▲網走にあったお寺。ちょっと南蛮風?
網走市街を抜けたあたりで、右隣の車線を走っていた2台のツーリングバイクの片方のリアシートの荷物から何かが落ちるのが目に入った。
おーい落ちたぞ~、とホーンを鳴らしたけど2台は気付かずそのまま行ってしまった。放っておくのも何なので、カタナを路肩に止めて落ちたものをピックアップ。
落としていったのはクルマの窓ふき(ウェットティッシュのようなもの)だった。なるほど、これはバイクのカウルやヘッドライトやヘルメットを拭くのに適している。ロングツーリングでは虫がぶつかったりして結構汚れるので持っていると便利そう。
拾ったものをリアシートのバッグに括り付けて二台を追いかける。直ぐに追いつき隣に並んで身振りで落し物を示すと、分かったみたい。
もう一台の相棒にどうやって伝えるのかな?と思っていたら、ちょっと先の路肩に2台とも止まった。何で?と思ったら、最近はみんなヘルメットにインカムツを付けて走っているんですね。走行中も会話ができるとやっぱり便利なんだなぁ。
恐縮する二人を残し、じゃぁね、と先に出発。
ちょっと走ると左に「藻琴」駅という雰囲気の良い古い駅舎が見えたので寄る。
ホームに出てパシャパシャ写真を撮っていたら、思いもよらず列車がやってきて、乗客の視線を浴びてちょっと恥ずかしかった。
ここは駅舎の半分が喫茶店になっているけれどちゃんと現役の駅。この時は喫茶店も営業していなくて、列車を待つ乗客もいなくて完全な無人状態で、すっかり油断していました。
藻琴駅を出て直ぐ先にセイコーマートがあったので寄る。(なんだか止まってばかりでちっとも走っていないです。)
そしたらさっき落し物を拾ってあげたライダー達がいた。会話はやっぱり今日の天気の見込みについて。
今日は知床に行くつもりだったんだけど...と言ったら、彼らも知床に行くつもりだったけど天気が悪そうなので帯広にいく事にしたそうだ。CBさんといい、みんな帯広に退避するんだなぁ。
さぁ、どうするか。空を見渡すとこの辺一帯は青空が多くて雨は降りそうにはない。しかし、遠くの山々には雲がかかっているので、他の地域は予報通り曇りや雨の場所が多そう。
ならば天気の良いこの一帯を走ってまわった方が良いのかもしれない。
ということで、もう少し南下して小清水のあたりまで行き、そこから網走に一旦戻って「ホワイトハウス」で昼食を食べ、女満別の丘でも巡ってから屈斜路湖の和琴に行く事にした。
▲小清水の原生花園。大勢の観光客で賑わっているけれど、自分としは売店とか展望台とか遊歩道が整備され過ぎていて、“原生”という感じでは無いように思いました。
原生花園の少し先には放牧されている馬が集まっていて観光客に大人気。
この馬達、カメラを向けるとカメラ目線でじっと動きを止めてポーズをとって(?)いました。
▲携帯電話やカメラを向けると撮り終えるまで動きを止めていました。
網走へは来た国道をそのまま引き返してはつまらないので、国道と並行している農道を走ってみることにしました。
これが大正解で、北海道らしい広大な畑や草原の中を道路が真っ直ぐに延々と続き、交通量は少なく景色を見ながら気持ち良く走れました。
所々ジェットコースターのように道が上下にうねっていてちっとも退屈しない。網走まで楽しく走れました。
「ホワイトハウス」はボリューム満点の料理が目玉。今日もたくさんのお客さんで賑わっていました。
今回選んだ料理はビーフカツレツとチキンのグリルのセット。スープとサラダとライスが付いてこのボリューム。
他のお客さんが注文した他の料理もボリューム満点。皆さん常連なのか驚くこともなく平気な顔で食べています。隣に座っていた年配のご夫婦もモリモリと平らげていました。
味は上品とか凝った味ではなく、家庭的というか“レストラン”ではなく街の“洋食屋さん”といった感じの庶民的な味で、とても美味しかった。
満腹になって女満別の丘方面に向かう。が、選んだルートが思いの外交通量が多くて時間がかかり、ゆっくり丘を巡る時間が無くなってしまいました。
黒沢明監督の「夢」のロケ地*1とかもあり、ちょっと美瑛の丘に似た感じのきれいなところが多いのですが、ちょっと通っただけで先に進むことにしました。
再び斜里方面に向かうのですが、さっき通った農道を再び走ります。さっきよりももっと(というか殆ど)クルマが走っていなくて気持ち良く走ることができました。
時刻は14時を回っていましたが相変わらず天気は上々。予報では昼頃から雨のはずだったのに。しかし、前方遠くの山の峰には灰色の雲がかかっていて、山より向こう側の地域は明らかに天気は悪そう。
特にこれから向かおうとしている屈斜路湖がある方面はどす黒い雲が山にかかり、よく見ると円柱形に曇っているところがいくつか見えます。スコールのように激しい雨が降っている模様。
一方、知床の方面は、雲はかかっているけれどまだ明るい灰色で雨は降っていないように見えます。
どう見ても屈斜路湖に向かうのは危険なので、知床に行く事にしました。
嵐を呼ぶ男
斜里で国道334号線に入り、知床に向かうにつれ曇り空になってきましたが雨は大丈夫そう。曇りでも知床半島に海岸沿いの景色はきれいでした。
一方、知床とは反対側の摩周湖/屈斜路湖方面や中標津方面は相変わらず一面に不穏な雲がかかっています。コンタローがキャンプしている開陽台も雨ではなかろうか。
斜里の街で買い物をしてからノンストップで走ったので、15時過ぎにはウトロに到着。
キャンプ場に入るにはちょっと早いけどあちこち観て回るにはちょっと遅い。なので知床峠まで軽く往復してみることにしました。
この知床横断道のウトロ側は大き目のコーナーが続く気持ちの良いところ。峠の駐車場辺りはガスが出ていたけれど、雨に降られることもなく気分良く走れました。
▲峠はこのとおりの霧。周りの景色は何も見えません。
▲しかし、霧はどんどん流されていって羅臼岳が霧の中に現れるときがありました。青空の景色もきれいですが、こういう景色も神秘的な感じがして良いものです。
峠を下ってウトロの「知床国設野営場」に着いたのは17時。キャンプの受付を済ませ、テントを張ります。
だいぶ雲行きが怪しくなってきて、いつ雨が降ってもおかしくない感じ。なるべく雨が当たらぬように木の枝の下で、かつ地面が平らなところはないかと慎重に場所を選んでテントを張ります。
テントを張り終わった頃にパラパラと雨が降ってきたので間一髪のタイミングでした。
雨はそれ程強くはならず、30分くらいで上がりました。
紅茶を入れて一息ついてから、近くのコインランドリーに行って洗濯に行きました。ところが洗濯のみで400円の料金表示。ずいぶんと高いなぁ、ランドリーまで観光地価格か?とブツブツ言いながら洗濯物と洗剤を投入。
洗濯が終わるまでキャンプ場下の港の方に散歩に行きます。既に観光客の姿は殆ど見えずとても静か。陽が沈んでだんだん暗くなり、夜になる手前の時間というのはなかなか良い雰囲気です。
洗濯が終わる頃合いにランドリーに戻り、洗濯物を回収し、キャンプ場の近くの「夕日台の湯」で入浴。
小さいながらも露天風呂もあり、気持ち良くお湯に浸かれました。風呂上りのフルーツ牛乳も美味しかった。
風呂から出てキャンプ場に向かって歩いていると、遠くの空が時々明るく光っているのに気付きました。
雷鳴は聞こえないのでかなり遠くの方のようだけど、かなり激しい雷雨なのではなかろうか。方角としては内陸側から太平洋側にかけて。
どう考えてもコンタローは酷い目にあっているはず。ツーリングに来る度に毎回のように豪雨に見舞われるとは、よほど行いが悪いのだろうか。
ビカッ!、ビカッ!と光る稲光が、天の神様がコンタローにお仕置きをしているように見えてくる。
それに比べてこちらは風も無く、静かでなんと穏やかな事か。このキャンプ場でもキツネが闊歩していた。
今夜はの夕食はご飯を炊いてカレーライスにするつもりだったけど、たっぷりの昼食を食べたせいでお腹がちっとも空いていない。なので、魚肉ソーセージを一本、ストーブの上のトースターであぶって缶ビールを飲んでそれでおしまい。
ビールを飲み終わってテントに入ったらパラパラと雨が降ってきて、テントを叩く雨音を訊きながら就寝。
本日の走行距離 : 253.1km
*1:「鴉(カラス)」のシーンで使われた麦畑