自分だけのカタナをつくる ~ Bike &DIY ~

GSX1100S刀のプライベートカスタムと気ままな工作と冬はスキーの日記です

2018 北海道ツーリング ~ 8日目(上士幌 ナイタイ高原)

  朝6時ちょっと前に目が覚める。雨とか天気の心配をせずに朝を迎えるのはこのツーリングで初です。

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  ファミリーキャンパーが多いせいかまだ人の姿が少ないので、水場でササっと頭を洗う。

 お湯を沸かせないのでコーヒーとかは淹れられない。水とパンで朝食。しかしこれが味気ないのなんの。キャンプ場での食事は何でも(例えばカップラーメンでも)美味しいのだけど、水とパンの食事がこんなにもつまらないとは。

 やはりキャンプで火が使えないのは致命的です。

 朝食の後は特にやることもないので、さっさと出発の準備。今回も大して荷物を広げていないので荷物はすぐにまとまります。でもバッグは使い物にならないストーブ2つとガス・カートリッジ2個でかなりパンパン。折角土産物用にスペースを空けていたのに。

 

 今日は夜に出航する苫小牧港発の太平洋フェリーに乗るので、17時頃までに苫小牧に着くこと。帯広で豚丼を食べること。この二つが本日の最重要ミッションです。

 ただ、まともに向かうと帯広に着くのが早すぎて豚丼のお店は開いていなさそうだし、苫小牧への到着も早すぎる。どこか寄り道しなければならない。

 地図を眺めて上士幌のナイタイ高原に行くことにする。距離的にも丁度良い。今日の予定は決まりました。

 

 いつもなら道内のツーリング最終日は名残惜しい気持ちになるものなのだけど、
今回はやれやれようやく終わった、という気分。

 

 7時半頃にキャンプ場を出発。まだ朝早いせいか、道路には殆どクルマが走っていない。


 上士幌へは道道88号線を使って国道のルートをショートカットする。地図で見るとおり一直線の道で、道幅も広く交通量も少なく見晴らしも良い。気持ち良く走られる道。

 空は雲が多めだけど、青空ものぞいていて雨の心配は無さそう。

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 気持ちよく走って上士幌町に到着。上士幌航空公園の案内標識が見えたので、ちょっと寄ってみる。

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 以前テントを張ったのはどの辺だっけ?と思いながらテントサイト(というか公園の芝生ですね)をぐるりと歩く。(因みに、駐車場ではオートバイの隣で地面に横たわって寝ている人がいました。倒れている訳ではなさそうでしたが....)

 

 キャンプ場からナイタイ高原へ。

 ナイタイ高原は道路が素晴らしいです。広大な牧草地のど真ん中に道路が通っていて、走るのが実に気持ちが良いです。宗谷丘陵と双璧と言って良いと思います。

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 途中の駐車場でオートバイを停め、素晴らしい風景をカメラにおさめます。

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 荷物入れのボックスに全国各地の観光地のステッカーを貼ったカブがいました。

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 沖縄・与那国島のステッカーも貼ってあるので、このオートバイで行ったのですか?とライダーさんに訊いてみたところ、はい、そうです。

 興味深く面白い話しを聞けました。長くなるので要約すると、

  • 日本一周をしている、とのこと。というか、一周はしたのだけれど、旅を終えることができなくて2周目(?)に入っているそう。
  • 全国各地、各島を全てオートバイで走破。
  • 与那国島にはオートバイを乗せられるフェリーが就航しておらず、沖縄本島から貨物船でオートバイを送った。(ライダーは飛行機と船を乗り継いで与那国島へ)

 不思議な感じの人でした。身なりや風貌は極普通。日本一周とか長期間の旅をしている人だと、どこかテンションの高さや弾けた感や世捨て人感(仙人?)を感じたりするのだけれど、この人はそういうところが全然無い。近所に住んでいてちょっとナイタイ高原の写真を撮りに来ました、と言う感じ。

 穏やかな語り口には気負いも感じられず、いろいろな旅の思い出話を語ってくれました。

 全国見て回って沖縄と北海道の風景は他とは全然違います、と言って広大な牧場の風景を一眼レフ・カメラに納めていました。

 しかし一体何者なのだろう?もしかすると写真家とか作家さんでしょうか。

 

 

 牧草地帯の中の道をレストハウスまで上る。が丁度レストハウスは建て替え工事中で、プレハブの仮設店舗と工事資材が並んでいてちょっと殺風景。

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  居合わせた千葉ナンバーのオフロードバイクのライダーさんとちょっとお話。

 何処を走って来たのですか?と訊いてみると、千葉ナンバー氏が「私は苫小牧に‥.」と言い掛けたとこでスマートホンがけたたましい警報音を鳴らした。 

 「おっ、地震警報...あ、ここじゃなくて家(千葉)の方です...震度4か」

 (千葉は結構地震が多いです)

 千葉ナンバー氏は何事も無かったかのようにスマホをしまうと

 「私は13日の昼に苫小牧に着きました。そこの天気は良かったんです。そこから富良野に向かい‥‥」と自身のツーリングの行程と、いかに雨に降られたかを雄弁に語り始めた。今回の苦難を誰かに話さずにはいられない心境なのだろう。

 が、「その後に向かったのは...え~と何と言ったかな、ほらあそこですよ、え一と...」と街の名前が出てこないので、旅程の半分も理解できない。


 これは長距離ツーリングで良くある事象だと思います。

 オートバイでのソロツーリングでは、会話する事が極端に減ります。走行中はもちろん無言だし、人との会話といえばGSでの「レギュラー、満タン」とコンビニでの買い物の会計、食堂での料理の注文程度、という状況になることも。

 これが5日、6日と続くと人と喋るのがぎこちなくなってきます。スムーズに口が回らなかったり、固有名詞が出てこなかったり。

 やはり人と会話するって脳には重要な刺激なんだと思います。(特に今回のように寒さで疲労が蓄積してくるとより顕著になるような気がします。)

 

 どうやら千葉ナンバー氏は稚内に行った後、オホーツク海側を南下してきたっぽい。そして全てキャンプ泊で通してきたらしい。凄い根性だ。

 今年は寒かったですねー、というと「途中でヒートテックをバンバン買い足しました。ダウンも買いましたよ、ほら」とジャケットの下に着ているダウンを見せてくれた。

 千葉ナンバー氏は「最後になって晴れるなんて。明日のフェリーに乗るので今日がラストランですよ」といいながらも青空にはやはり嬉しそう。

 「ここでソフトクリームを食べてから帯広でジンギスカンを食べます!「白樺」のジンギスカンを食いたかったんです。夜もジンギスカン食いますよ」と気炎を揚げる。

 自分も「私もこれから帯広に行って豚丼を食べます!」と応じる。

 

 お互いの決意表明をしたことだし、周りの景色を写真に撮ってそろそろ出発しよう。f:id:sword749:20181016234913j:plain

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 パシャパシャと写真を撮っていると、先ほどの日本一周の人の姿が見える。

 雄大な牧場を前にはしゃぎまわる人達の中で、ベンチに座って静かに風景を眺めている。まるで詫び寂びを知る俳人のよう。

 ジンギスカンだ、豚丼だ、と騒いでいたのとは大違いだ、と思いました。

 

 <続く>