朝4時。船内には穏やかなBGMが音量控え目に流れ、もうすぐ小樽港に到着することを告げるゆっくりとしたアナウンスが流れる。BGMもアナウンスも寝起きの頭に心地良い。既に周りでは起き出した人たちの動きが感じられる。この早朝の静かな慌ただしい雰囲気が良いのです。
バイクの下船は一番最後のはずなのでのんびり身支度。一方、早くもロビーは下船を待つ人で一杯。
やがて予定通り4時半に小樽港に着岸。早速クルマのドライバーと同乗者の車両甲板への案内と徒歩での下船開始。
外の天気は弱い雨。空は雲に覆われているけれどあまり暗くはない。
混雑していたロビーもあっという間にガラガラに。残っているのはバイクと自転車のライダーのみ。中央のテレビの前のベンチに座ってテレビを眺めている者、壁に寄りかかってスマホを見ている者、外の景色を眺めている者。ツーリングの始まりを目前にしてみな手持ち無沙汰な時間が続きます。
テレビでは北海道のニュースが流れております。札幌市の住宅街ではクマが出没し続けていて騒ぎになっているらしい。ニュースは女性アナウンサーにバトンタッチして「それでは北海道のお天気です」。
今日の天気が良くないのは承知していたが、どうも予想していたよりも悪い模様。内陸部では1時間に50mmの雨が降るところもあるとのこと。うーむ。
"地面に叩きつけるような雨”、"横殴りの雨” という言葉がテレビから聞こえてくる。ライダー達はじっと無表情に画面を見ている。
ただ稚内あたりの天気が良いのは変わらず。予定通り日本海側を通ってさっさと稚内を目指した方が良さそうだ。
ようやくライダーの車両甲板への案内が始まる。アナウンスの途端にライダー達は一斉に立ち上がり車両甲板に向かう。
車両甲板ではバイクに荷物を積み直したり、雨なのでカバーを被せたり大忙し。カッパも着なければならない。普段よりも皆準備に時間を要しております。
私もカッパに身を固め、手には昨年ホームセンターで買ったゴム手袋を装着。フェリーを下りる。
外は弱い雨。歩き回るくらいなら傘は必要ないが、路面はウェットという具合。いつもならフェリーをバックに写真を撮るところだけど雨なのでそのまま走り出す。
雨の中を淡々と進む。下船した他のバイクの姿は殆ど見当たらない。雨なのでさっさと目的地に向かったのだろうか。
石狩の辺りまでそのまま走り、目に付いたセイコーマートで一回目の休憩。雨はいつの間にか本降りになっていた。
朝食用におにぎりを二つ買う。「すじこ」と「鮭」。でも雨のせいか食が進まず鮭のおにぎりは残す。
再び雨の中を走り出す。雨は段々強くなってきて風も出てくる。土砂降りという程ではないが、風で雨が吹き付けられてカッパのジッパー部分から雨がしみ込んでくる。身体が強張っているのか足が痛くなってきたので、トンネルの中の待避所でバイクを止め、身体を伸ばしてヘルメットのシールドを拭う。
雨は相変わらず。身体が少し冷えてきたので増毛の駅跡の休憩所で雨宿りすることにする。
まだ開店準備中でしたが、ホットコーヒーは準備ができていたので一杯頂く。
駅舎を利用した休憩所? 土産物店? はなかなか居心地の良いところでした。まだ朝なのでお客さんが少ないので静かです。
居心地が良いのでホットコーヒーをもう一杯飲む。ゆっくりしていたら雨は上がってきた。予報より天気の回復が早い。ただ、思っていたより気温が低いのでトイレで長袖のTシャツを一枚着こみ出発準備。
走り出すと雨は完全に上がり雲の切れ間から青空も見えてきた。やはり雨が上がると気分も上がる。そうだ!留萌駅に寄って去年から気になっている蕎麦を食べよう!*1
駅の中に客の姿は無くガランとしていました。でもそば屋さんは営業していました。さて何にしようか?「かけそば」か「かき揚そば」か...おっ「ニシンそば」がある!ということで「ニシンそば」を注文。
そば屋のおばちゃんが私の身なりをみて「バイクかい?札幌の方から走って来たの?」と少し感嘆したように訊いてくる。ツーリングしているとこうい事は良く有ります。
私は「いえ小樽からです。今朝のフェリーで小樽に着きました」と言う。少し得意になっているのを自覚する。そして訊かれてもいないのに「今日はこれから稚内まで行きます」と言う。
ところがおばちゃんは「あら、国道はこの先のトンネルのところで通行止めだよ」という。「幌延からのバスも今日は運休してるのよ」。
エエッ!? マジですか? じゃぁどうするれば良いのでしょう?迂回ルートが有るのでしょうか??
オバちゃんは「さぁ良くわからないけどねぇ...はい、お待ちどうさま」
とりあえずはまずはそばを食べる。さっき食べ残したおにぎりも一緒に食べる。
そばは茹であがったパックのものを湯がいただけのものでしたが美味しかったです。鰊も美味しかった。わざわざ食べに寄って正解でした。
さてどうするか。どうやら大雨の警報が出ると土砂崩れの危険がある辺りはサッサと通行止めにしてしまうらしい。迂回ルートはありそうだし、空は青空も出てきているくらいだからもしかすると通行止めが解除されているかもしれない。
駅を出るとき、列車の運休のお知らせが張り出されている事に気が付きました。
だからお客が居なかったのか。しかし、それでもそば屋は営業しているとは!(多分、駅の職員や近所の人とかが食べに来るのでしょう。)
<続く>